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東北三省鉄道漫遊記①|T297次北京〜牡丹江。東北に行ってきます

 国慶節休暇が2日目に入っても北京駅を利用する乗客の流れが衰えることはなかった。今年は、中国人が家族で一家団らんを楽しむ中秋節の節句が国慶節連休の4日目に入っていたため、里帰りをする乗客は昨年よりは多い。そのためか、国慶節開始前後、北京を発車する列車のほとんどの寝台切符購入は困難を極めた。ひと月かけて無事に切符を入手できた列車は、北京から黒龍江省東南部の牡丹江へ向かうT297次の乗車体験を紹介する。


●北京と黒龍江省南部を結ぶ特快列車
 多くの列車がひっきりなしにやって来ては発車していく北京駅の5番線に停車中のT297次は2013年に登場。京哈線(北京〜ハルビン東)を走り、黒龍江省のハルビン東駅を経由して牡丹江に向かう長距離特快列車だ。同じく北京から牡丹江へ向かうT17次と車両を共有している。車両編成は、1号車が電源車、2号車が郵便車、3〜10号車は硬臥車、11号車は軟臥車、12〜16号車は硬座車、17号車は荷物車という内容だ。牽引する電器機関車は韶山9G型。まだ車歴20年にも満たないかつての直達特別快速旅客列車(Z列車)を牽引してきた花形機関車も今やすっかり和諧機関車の活躍の前に隠れてしまったが、第二線として北京と上海、広州、瀋陽、ハルビンなどでまだまだ活躍している。

 改札が始まると同時に寝台の軟臥切符を手にして11号車に向かう。大勢の乗客と一緒にホームに続く階段を降りていくが、車両が近づくにつれて気分も盛り上がる。ハルビン鉄路局持ちの車両のなかでもひと際輝く軟臥車は、RW25K系という最高時速140㎞という日本でいうならA寝台扱いの寝台車。設備こそ最新の25T系に劣るが、個室の内外は木目調の内装に一新され格調高い仕上がりをみせる。
 また、各個室内と通路2カ所に充電用電源が設けられているため、携帯電話やモバイル機器の充電も滞りなくできる。同室になった人たちは、これから東北の故郷に戻る帰省客で、隣の部屋には小さい女の子を連れた家族たちだった。

 お昼の12時ちょうどに北京駅を発車した同列車はまずは河北省の秦皇島まで東の方角に向かって真っ直ぐ進む。全区間1633㎞のなかを19時間30分かけて走り、牡丹江駅到着は翌日7時30分。距離を日本の鉄道に換算すると、一ノ関から東京経由で鹿児島までの距離に匹敵する。
 この日の北京の気温は前日よりも低い15度で、いつの間にか短い秋を通りすぎ冬の訪れを感じさせた。走りはじめて30分も過ぎると、コウリャン畑と防風林が広がる沿線風景に変わり、ときどき畑の間から放牧された羊の群れを何度か見た。次の停車駅までのどかな景色がずっと続く。


●途中乗車は辛いよ 
 12時半過ぎに食堂車に行こうとするが、厨房脇にある細い通路から立ち席の乗客たちで溢れかえり、座席は全部埋まっていた。壁に架かっていたメニューを見ると、すべて、ご飯、おかず、スープ付きのセットメニュー構成で、35元と40元の料理が全部で6種類ある。しかし、いつになったら空くか分からないゴミゴミした状況での注文は厳しいと考え、1箱30元の車内弁当を調達。足りない分は乗車前に買っておいたカップ麺やハルビン名物のソーセージ(紅腸)で補った。

 列車は途中の小さい駅であとから来たD列車(CRH5)に抜かされるものの、大きな遅れも出さず順調に運行。15時30分には河北省東部にある秦皇島駅に到着した。ここは紀元前2400年前の春秋戦国時代に興った燕という国が支配していた。近くの蓮蓬山には碣石があり、中国を統一した秦の始皇帝がこの地を巡視した由来からこの名前が付けられた。

 途中駅で見る光景の中で圧感されるのは、この駅から乗り込もうとする乗客の攻防。秦皇島駅も他の駅同様車両ドアに我先へと押しかける乗客の勢いは凄まじい。それを拡声器で並ばせようとする駅職員。日本のラッシュアワーにも劣らないこの光景は、きちんと並べばもっとスムーズに行けるのに、乗客たちは自分の席をよそ者に占領されたくない気持ちで必死になる。最終的に乗客が入りきるまで発車を待ってくれるのでホームに取り残されることはないが、途中駅からの乗車は悲惨だといつも思う。


●山海関を越えるとすぐそばまで冬が来ていた
 次に停車する山海関駅の由来である山海関は、万里の長城の東端で、古くから要塞としての役割を担っていた。また、華北と東北の境界でもある。この駅を過ぎると遼寧省に入り、瀋陽北駅までは和諧号が走らない瀋山線(山海関〜瀋陽)を走る。走る場所が広州より東にあるため、日の出が早いぶん日の入りも早い。16時過ぎに山海関駅を発車するとすぐにどっぷりと日が暮れてしまった。

 車外の気温は徐々に下がりはじめ、トイレの窓から入ってくる隙間風は、大陸南の広州で暮らす人間にとって受け入れがたい冷たさだった。今回の旅行での失敗は、国慶節期間中の東北気候を甘く見積もり、冬服を少なめに持ってきてしまったことだ。保険用に長袖を2枚持ち合わせていたものの、とてもじゃないがこれで過ごせるか不安に駆られていた。

 18時に錦州駅に停車、食事にしようと食堂車に向かうが、またもや混んでいたため再度車内弁当を注文。濃い目の味付けでなかなかの美味だった。20時過ぎに瀋陽北駅に到着。車外気温は10度を下回っているが、東北ではこの寒さはまだまだ真冬ではない。みんなが寝はじめた車内では、暖房が稼働しており、掛け布団がなくてもグッスリ眠ってしまう暖かさ。一昨日までいた広州では昼間の気温が30度を超える日が続き毎日クーラー全開だったのに、3000㎞離れた東北ではもう冬支度がはじまっていた。ちょっとした日常空間のギャップを体験できるのも長距離列車でしか味わえない醍醐味のひとつだ。

 吉林省に入る前に就寝。日付が変わった深夜の2時過ぎに黒龍江省のハルビン東駅でトイレに起きる。夜中に響く汽笛の音とともに列車はゴトリと静かに動き出したが、これまできた進行方向とは反対方向で進んでいる。地図を見るとハルビン市内ではハルビン駅とハルビン東駅を中心に線路が環状線になっているが、この列車はハルビン駅を通過せず、ハルビン西駅手前で東に分岐する貨物線を経由してハルビン東駅に到着。後方車両にディーゼル機関車を連結してから濱綏線(ハルビン東〜綏芬河)で牡丹江に向かうルートを取っている。
 黒龍江省の各地へ向かう列車の始発駅となっている同駅だが、さすがに深夜始発の列車は皆無。停まっている間、重いエンジン音を響かせながら貨物を牽引するディーゼル機関車が何度か過ぎ去って行く音はよく聞こえた。


●帝政ロシアのゆかりの路線を快走
 濱綏線は清代末期にロシア帝国が中露国境の綏芬河からハルビンを経由し、同じ中露国境の満洲里まで敷設した東清鉄道の一部である。当時はロシアのウラジオストックからチタまでシベリア鉄道輸送を短縮する役割を果たしていた。架線のない非電化区間だが、複線だから途中列車の交換待ちを行うこともなく、順調に進んでいた。

 翌朝の5時過ぎ、カーテン越しに差し込んでくる太陽の光で目を覚ます。広州ではなかなか見ることができない真っ青な空模様だったが、スマホで気温を見るとビックリ仰天の−2度。尖った屋根の駅舎が印象的な横道河子という駅に停車したので、少しの間外に出たらあまりの寒さに部屋の中に退却。車内販売のカップラーメンをすすりながら暖を取った。

 列車は、張広才嶺という黒龍江省東部の南北に伸びる山脈のなかを地形に沿って進むため、車両の底からキーキーと軋み音が聞こえてくるほどカーブが多い。沿線は小さな小川とその川岸に並んで生える原生林が続いており、時おり煙突付きの集落がポツポツと現れる。畑の奥にそびえる山は黄色に染まった樹木で覆われていた。雪こそないものの完全な冬景色。広州や北京で見た沿線風景とはまた異なる東北独特の光景だ。外は寒いが日射しは強い。順光になると途端にまぶしい光が差し込んでくるが、暖かいのでこれはこれで貴重だ。

 牡丹江駅には予定通り7時30分に到着。気温は相変わらず寒い寒い−2度。しかも北風びゅうびゅうというおまけ付きだ。長袖を重ね着してなんとか防寒服代わりにした。駅内は大規模な改装工事を行なっていた。臨時に設けられた地下道に続くスロープを降りて出口に向かうが、このスロープは別の列車が発車するホームにも繋がっていた。次に乗車する列車切符は北京ですでに発券済みだったため、駅の外に出ることなく隣のホームに移ることができた。


●とても楽しかったが、切符発売制限は勘弁
 北京から東北東部の牡丹江まで日付を跨いだ19時間30分。乗車は快適だったが、国慶節2日目に発車する切符入手に難儀したことが一番の問題だった。日付を改めて10月19日発で同列車を調べたら、何と北京駅発の軟臥だけで18枚もあった。硬臥切符も「かなり余裕がある」というメッセージが出てきたので普段なら問題ない。問題は大型連休前後の切符発売制限だ。発車1週間前を切れば買えるようになるが、こういうローカルルールを知っているのと知らないのではまったく違う。心理的にも疲れるのでいい加減止めてもらいたい。

つづく

2017年10月19日


列車データ:T297次 
ハルビン鉄路局牡丹江客運段
区間:北京〜牡丹江
時間:12時00分〜翌7時26分
乗車:19時間26分
距離:1633㎞
料金:硬座192元、硬臥351元、軟臥537元



画像説明

画像1 北京駅を発車するT297次牡丹江行き。これから19時間30分にわたる東北鉄道旅行がスタートする

画像2 こぎれいになっている軟臥車内。この切符を買うためにほぼ1カ月間頑張った甲斐があった。テーブル下に電源があるのも助かる

画像3 車内駅弁は1箱30元。野菜炒めはバターを使って炒めており、結構おいしかった。全体的に味は濃い目

画像4 最初に停車した河北省の唐山北駅。ホームでの激戦が予想されたが、この駅では混みいった様子もなかった

画像5 食堂車のメニュー欄。最近は単品ではなくご飯をプレートに乗せたセットメニューに変わりつつある

画像6 深夜の瀋陽駅で乗客を待つ若い男性乗務員

画像7 帝政ロシア時代に敷設された東清鉄道の影響を受けたためか横道河子駅は、とんがり帽子の洋風作りになっている。この区間は山の中を走るため、結構クネクネした線路が続いている

画像8 超寒い−2度の世界。山に植えられた樹木の一部は葉っぱが黄色に染まっている。もうじき本格的な長い冬がやって来る。快晴だったのが不幸中の幸い